Vol.11-1 お待ちかね オークション速報 第1弾
今年で21回目をむかえる『ナパ・ヴァレー・ワインオークション』
<Ode to Napa Valley 2001>
6月7日(木)を皮切りに10日(日)まで、世界中のお金持ちワインラヴァーが大結集する絢爛豪華な世界最大のワインオークション。
今回の実行委員長はマルグリット&ロバート・モンダヴィ夫妻です。
Day1 昼間
モンダヴィワイナリーすべての施設を使った「会場」で、たくさんのイヴェントが同時進行する幕開けで初日が始まりました。
1)ひんやりしたセラー&ワイナリーの中では、土曜日に行われるメインイヴェント、ライヴ・オークションに出品されるボトルのプリヴュー=要するにどんなワインが出るのか近くでよーく見て、どれを落とそうか作戦を練るわけです。ためいきもののワインたちが「私を落としてね」ってキラキラ輝いてまぶしいくらい。
-出品は今年で最後となる15リッターボトルのマヤ
-地元アーティストがデザイン&エッチングした9リッターボトルのZD赤白ペア
-オークヴィル地区に位置するワイナリー大集合のダブルマグナム24本セット
(ハーラン・エステート、ジョセフ・フェルプス、マイナー、オーパス・ワン、パラダイム、オークフォード、スクリーミング・イーグル、ショウケット、マヤ)
-仏陀の絵&世界中のチャリティ・ロゴが描かれたグレイス・ファミリーのボトルはすべてのアングルが見られるように、プレートの上でローテーションしていました。
2)バレルテイスティング=もちろん各ワイナリーからワインメーカーが集合、直接グラスに注いで解説してくれます。こうしてバレルから試飲して、どの銘柄に入札するか決めるわけです。私が飲んだ中では『プランプ・ジャック』『セコイヤ・グローヴ』(ここのワインメーカーがVIVAのイチオシ銘柄「カール・ロウレンス」をPBとして造っています)『ロバート・クレイグ』がダントツによかったなぁ。私「好み」の味ということでしょうか。
3)野外ではシャルドネーやソーヴィニヨン・ブランなどの白ワインをふるまうワイナリー、地元のレストラン&ケータリング会社からは看板料理のオードヴルをサーヴする出店が真っ白いテントの軒を連ねています。
Day 1 夜
各ワイナリーがその威信をかけて、ベイエリアのみならず全米で名をはせる最高レストランのケータリング部門を総料理長ごと呼び寄せて、ゲストをおもてなしする「ディナー合戦」の火蓋が切って落とされます。カップルで$2,500ものチケットをぽんと払って、自家用ジェットやファーストクラスのフライトではるばるナパまでやって来るゲスト達の肥えた舌を満足させ、豪華な花とヨーロッパのブランド・クロスでテーブルを演出し、その雰囲気と自らのとっておきワインで酔わせるわけですからホント涙ぐましい努力がみえかくれします。特に私は裏舞台を知っているから…。2ヶ月前から予約をしないと食事ができないベイエリアのレストラン郡も大活躍です。ベリンジャーは「ゲーリー・ダンコ」、ダラ・ヴァレでサーヴするのは「リッツ・カールトン」、グレイス・ファミリーはカリストガの「カタホーラ」をえらんだとのこと。
初日のディナーをどのワイナリーにするか=お目当てのワインはいうに及ばず、どこのレストランをケータリングしているかで選ぶゲストも、かなりの数にのぼります。当然各ワイナリーとも相当前からレストラン争奪戦を始めねばなりません。
私達がお招きいただいたジョセフ・フェルプスは『フィフス・フロアー』。サンフランシスコ・クロニクル(ベイエリア最大手の新聞社)のワインライター=ジャニスは「フィフス・フロアーって情報を聞いたからここを選んだのよ」と片目をつぶってみせます。
杖をつき穏やかな笑みをたやさないジョセフ・フェルプスおじさまが、あたたかい手をさしのべてゲストひとりひとりに挨拶してまわります。「ようこそおこしくださいました。楽しんでいってくだされ。」
正式な晩餐会スタイルにセッティングされたテーブルのメニューに目を落とすと、オーマイゴッド!今夜サーヴされるワインはすべてマグナムボトル。
ちょっとメニューをご紹介しましょうか。
【ファーストコース】『シャルドネーオヴェーション96』
ポーチド・オイスター&オイスター サフラン
ビスクのフレーヴァーをぐっと引き立てる力は圧倒的。
【セカンドコース】『シラー94』
トリュフの香りがあざやかにたちのぼるローストされたうずらは脱帽モノ。トリュフの香りはまるでお香をたきしめたかのごとく。その加減がまた絶妙でおかわりしたかったくらい。ナパの地鶏との相性は抜群でした。
【サードコース】『インシグニア93』
コロラドから運んだラムに、オリーヴとアンチョヴィのエッセンスを添えて。ファーストノーズでノックアウトはお約束ですね!
【フォースコース】『カベルネ・ソーヴィニヨン バッカス78』
インシグニアより、はるかに入手困難なバッカス…!しかも78のマグナムをデキャンティングして惜しげもなく!あー、今夜はフェルプスに来て良かったよ~鼻腔深く、胸にしみわたる至宝の雫。
ワインに敬意を表し、クラッシーなビーフに控えめなトリュフソースで仕上げたフィフス・フロアーの総料理長ジョージ・モローン氏の鮮やかな腕前に頭が下がりました。
【フィフスコース】『セミヨン95』
苺とフロマージュのタルトにピスタチオのアイスクリームを添えて。
フェルプスでワインを造り続けて25年、醸造責任者クレイグ・ウィリアムスの熱い情熱が伝わってくる清冽なワインのオンパレードで、至福の時間を過ごした初日のディナーです。
「本当に素敵なディナーでしたわ、ありがとう。来年もまたフェルプスに伺っていいかしら」にっこり微笑み、きびすを返して華麗に立ち去る渡辺ケイ…、なわけがありません。
ケ 「ねぇ、クレイグー(ちょっと甘えた声を出してみた)今年の収穫期もインシグニアブレンド、手伝ってあげようか…バッカスも引き受けてもいいわよ」
気分のすこぶるよろしいクレイグは二つ返事でした。
ク 「うんうん、もちろんだよ。ケイが来てくれたらホントに助かるよ」←ウソばっかり(笑)
ケ 「今年は『お持ち帰り用』に容器持っていくからね」
ク 「ハハハ。床にこぼすよりは容器に入れて持ち帰ったほうがいいね」←うー、きついゾ、クレイグ!
このお話が「?」の方はVol.2 インシグニア・セラーワークをどうぞ!そして第二弾へつづく。
※リポート内容は取材当時のものとなります